というのを題材に、小川大二郎が今年の秋芝居をするらしい。
まあ個人的には面白いのを題材に選んだなあというのが本音。いや、もっと本音は「やられた」である。
まあ頑張って面白い物を作ってほしいなと思う。
そんな矢先、本屋で「20世紀最大の謎 三億円事件」という文庫があった。
これ↓
思わず買ってしまった。で、思わず今読んでいる。
他にも三億円事件のノンフィクションと言えば、
こんなのも以前読んだ。
この一橋文哉氏のノンフィクションはかなり面白い。
宮崎勤事件、オウム、ドナービジネス、グリコ森永事件など、戦後の大事件や闇の部分をどんどん追っかけている。新刊が出たら買ってしまう「出た買う作家」の一人だ。
ぜひご一読あれ。
さて、三億円事件であるが・・・
この事件に僕が最初に興味を持ったのは中学二年の時だった。
なぜ、そんなに明確に覚えているか・・・
ひとつのエッセイ集がきっかけだった。
エッセイ集の著者はさだまさし氏。まあ、僕の全ての原点みたいな人。
この辺の話は書くと長くなり過ぎて10日くらいかかるので、はしょる。
さださんの初期中の初期、たぶん初めてのエッセイ集が「本〜人の縁とは不思議なもので」というタイトルだった。書かれたのはグレープというデュオを解散してソロになる間。
その中身はエッセイのみならず、戯曲や小説なども入っていた。
(僕が生まれて初めて芝居の台本というのを読んだのもそれだった)
で、その「本」というタイトルの本の中に入っていた中編SF小説の題材が「三億円事件」だったのだ。
二人組の男が、とある酒場で気を失いタイムスリップをしてしまう。
気がつくとそこは20年ほど前、つまり昭和30年代。(書かれたのは昭和50年頃です)
右も左も分からない二人組は、それでもその時代で生きていくために知恵を絞る。
一人は音楽が得意だったので歌手になる。しかし曲なんか作れない。しょうがないので知っている歌を歌ってみた。タイトルは「神田川」。それが大ヒットになってしまう。もちろんかぐや姫がデビューするずっと以前である。一躍時の歌手になった彼は第二弾として「結婚しようよ」を歌う。もちろん大ヒット。吉田拓郎のずっと前である。やがて氷の時代というアルバムを発表し空前のヒットを飛ばす。井上陽水のずっと前の話。
かくして、自分の知っているヒット曲を次々とコピーし、彼は大ヒット歌手の仲間入りを果たすわけである。
もう一人の男は覚えている競馬のG1などのレースを当てまくり、やがて「預言者」としてテレビや雑誌にひっぱりだこになる。
未来を知っているというだけで、彼らは有名になりお金持ちになり大成功を収める。やがて数年がたち、ふと二人に疑問が持ち上がる。
これでいいのか、と。
時は昭和43年になっていた。確かこの年は三億円事件が発生する年だ。
もしかしたらあの迷宮入り事件を解決できるのかもしれない。なぜなら二人はあの事件の発生時間も場所も犯人の足取りもすべて知っているのだから。
そして二人は犯人を捕まえるべく、知り合いの警察官に話をする。警察官の男はその話を信じ、では当日現場で取り押さえようということになった。
そして12月10日、府中刑務所。
二人は、警察の男を待っていた。しかし来ない…
やがて現金輸送車が目の前に現れ、白バイが車を止め、事件は起こる。警官の男は来ない。二人はしょうがなく、白バイが車を乗り換える地点に先回りして待ち伏せすることにした。
そしてその場所に白バイに乗って現れたのは・・・ そうあの警官の男だったのである。
「ここで乗り換えて逃走するんだったね」
男は二人に笑みを見せ車に乗って走り去って行った。
結局三億円事件は起こってしまった。
「ま、犯人が捕まらないのは歴史通りなんだしさ…」
二人は、去っていく車の後ろをただ茫然と見送っているばかりであった。
しばらくすると、また二人は頭が痛くなり気を失ってしまう。
あの時と同じタイムスリップが起きたのだ。
しばらくして気がつくと、二人はあの時と同じ酒場で目が覚める。
「大丈夫かい、いきなり二人して眠っちまうから心配したよ」
酒場の親父が声をかける。
眠ってたのか。じゃあ俺たちは二人して同じ夢を見ていたのか…
ま、夢で良かったんじゃね? あんなことして大金稼いで有名になるのは俺たちの本望じゃなかったし。
二人がほっと胸をなで下ろしたその先に、一人の男が座っていた。
彼は二人を見ると、小さく笑みを浮かべた。
彼は、あの警官の男だったのである。
そんな話。
もう本自体は絶版なので、最後まで書いてしまったけど。
僕はSFの傑作だと今でも思っていたりする。今だに覚えてるくらいだから。
さださんはその後本格的に小説を書いて、映画化とかされてるわけで、もちろんファンとしては欠かさず読み続けているけど、実はこの話が最高傑作だと思ってる。
そんなわけで、この時から三億円事件について興味を持ったりしたわけだ。
大二郎が面白く料理してくれるといいなと思う。
